初級販促の豆知識3:展示会ブース/展示パネル制作 編
展示会ブース出展の最大の目的は
受注に直結する案件獲得にあり!
企業規模を問わず、製造業・メーカー様のBtoBの販促マーケティングにおいて、「展示会出展」はより高いウエイトを占めます。新型コロナ禍以降、オンライン展示会の需要が高まりましたが、結局は通常のサイトプロモーションと変わり映えがせず、コンテンツの質や、操作性の面で「リアルな展示会」の代替とはなりませんでした(動画コンテンツとオンラインセミナーは定着化)。
コロナ終息の気配とともに、展示会にもようやく人が戻ってきました。今年(令和5年)春の「ネプコンジャパン2023」では、3日間で7万4,193人もの来場者を記録。その他、主要な春の展示会でも活況を戻した感があります。
展示会の目的は、「新規・深堀の案件獲得」です。「お付き合い」「自社事業の近況の発信」「ブランディングの一環」もありますが、新規案件獲得こそが「最大の効果」であり、出展の動機付けでもあります。展示会出展コストのほか、準備のための人件費や時間を考えると製造業・メーカー様の負担は馬鹿になりません。そのためにも余裕を持って計画を練り、出展準備を行う必要があります。とはいえ、これが思うようにうまくできないのが実情です。
担当者は業務の合間に出展準備を行うため、どうしても作業が疎かになり、スケジュールもおしてしまいがちです。社内外の調整も必要になり、展示会担当に任命されると、“憂鬱な気分”になられる方がほとんどではないでしょうか? ブース来訪者数や名刺獲得数はもちろん、会社からもかけた予算以上に「受注に直結する案件獲得」を1件でも多く増やすことが求められます。
展示会出展で必要なコト、モノとは?
見せるではなく、伝わる展示会ブース
展示会出展には、大きく分けて次の5つのコト、モノ(各種コンテンツ)が必要になります。
1. 主催者への出展手続き(出展小間数の決定)
展示会にはかならず主催の運営会社があり、展示会の運営全般と会場の仕切りなどを行っています。会場の小間割も行い、出展者に小間単位で敷地をレンタル契約して収益を上げます。
この契約は、出展者自身が行うことになります。またブース内で使用する電源の数や総使用容量なども申告しなくてはなりません。これらは申請書が用意されており、ブース施工会社や広告代理店でも代行できます。
2. ブース企画や設計・設営・撤収作業
展示会ブース出展は、大きく分けて「1. 基礎小間出展」「2. 自由小間出展」の2つがあります。
1の基礎小間出展は、出展者からあらかじめ設定された1小間の区画を利用するものです。主催の運営会社によって1小間の面積が異なり、大抵は「敷地+壁面+サイン(看板)+基本照明/電源、展示台、机」がパッケージ化されています。基礎小間は予算も抑えられ、初出展者にお勧めです。
ただし、基礎小間出展のパッケージだけでは、実は事足りません。展示パネルは含まれず、照明もスポットタイプのLED照明が1、2基のみ。不足分は主催の運営会社によってオプション品が用意されていますが、どれもレンタル費が割高です。明るいブースはよく目立ち、集客にも影響を及ぼしますので、大光量の大型LED灯や電飾パネルを手配したいところです。
基礎小間は「ミニマム・パッケージ」と考え、追加で必要な装飾品は別の専門業者に依頼することになります。
2の自由小間出展は、2小間以上の敷地に対して自由なブースレイアウトが可能です。製造業・メーカー様の多くは、2〜4小間がほとんどです。ブースの建屋は、「1. システム(パネル)」「2. 木工」があり、1のシステムは、組み合わせ可能な軽量な樹脂パネルを組み合わせ、ブースを作り出します。
◉ 左がシステムブース、右が木工ブース。導線を意識してパネルを壁面に掲出。木工は意匠性の高い、凝った造形が可能
制作コストこそ抑えらますが、部材が使い回しのため、パネルが傷んでいたり、汚れが目立つ場合もあります。またデザインの自由度が制限され、質感もさほど高くありません。
2の木工は、木材を使用したブース建屋のことで、大工さんがハンマーや電動工具で加工した木材を図面どおりに組み上げ、現場で仕上げていきます。設計やデザインに自由度が高く、意匠性の高いブースになりますが、システムよりコストがかかります。
システムパネルと木工の組み合わせも可能で、フル木工ブースより若干コストを抑えられます。
ブースは、レイアウトと導線に気をつけましょう。主催の運営会社から配布される展示会場のレイアウトには、入出口やトイレ、通り、自社/競合他社のブース位置などが詳細に記載されていますので、この見取り図を元にして来場者が会場内をどう動くかを考えてブースの設計を行うべきです。さらに来場者が自社のブースに来た際、どんな順序で何を見せたいのかを考え、それにあった導線を意識した展示内容にすべきです。特に人の往来が激しい大通り(いわゆる銀座通り)や大手企業ブースからの人の流れも意識し、人が流入しやすいブースレイアウトを心がけましょう。
3. ブース装飾(内外装、照明、音響AV機器、パネル制作)
ブース装飾とは、パネルや、POP、照明、展示台、机、ストックルームなども含んだ建屋以外の総称です。製造業・メーカー様のブースでは、展示会パネルや壁面グラフィックによるプレゼンがお勧めです。ただし、このパネルには原稿とラフが必要です。それらは自分で用意するか、ブース業社または広告代理店、パネル制作会社に別途依頼しなくてはなりません。
◉ 左からPOP付き化粧台、展示物に合わせた展示台(木工)
パネル以外に「壁面グラフィック」も効果的です。ブース入口付近や目立つ場所の壁に掲出し、来場者に製品や技術の全体像を把握いただき、個別の製品パネルへ誘導します。壁面グラフィックは、カッティングシートに印刷して壁材に直接貼るため、展示会終了後は使い捨て(廃棄処分)となります。
展示会後も使い回したい場合は、「ターポリン布製タペストリー」がお勧めです。丈夫で防水性が高く、カラー印刷の発色も良く、丸めて小さくできるので展示会が終わったら丸めて電車で持ち帰れます。
◉ 左から電飾パネル、ターポリン布製タペストリー、壁面グラフィック
展示会前後はやることがいっぱい
社内外に“見えないチーム”を作り出す
その他、既存顧客への出展案内(DM、サイトやメルマガ告知)、来訪者へのノベリティーやスタッフ・ユニフォームの発注、集めた名刺のDB集計・管理、展示会後の営業との連携など、出展前後の山のような作業に忙殺されてしまいます。企業規模があれば、複数の担当者の分担作業となりますが、ほとんどの場合は、単独(たった一人)でやることになり、担当者の経験とノウハウがないと内容に不備があったり、ホームページ制作と同様に予算オーバーになりがちです。
展示会は、うまく段取り、準備万全なら恐れるに足りません。そのためにも社内外に協力者や、教え上手な先生など“見えないチーム”を作り出すことで準備が格段にやりやすくなり、制作期間も圧縮できます。
展示会をマーケティングの場として捉え、ブース内で積極的な営業活動を行うことで確実な効果が出せます。そのためにも展示会に必要な各種コンテンツに質の高さが求められています。
ブースの小間数を問わず、製造業・メーカー様の展示会ブースであれば、特にブース自体の規模や見栄え、豪華さを競うのではなく、たとえ基礎小間でも説明員がきちんと説明やプレゼンできるパネル内容にこだわるべきです(了)。
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