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初級販促の豆知識2:会社案内制作/製品カタログ制作 編

完成させることが目的ではなく
ツールで会社に利益をもたらすこと

紙ツールは、製造業・メーカー様の販促マーケティングにおいて「なくてはならないもの」です。しかし、ネットの普及や環境負荷の少ない持続可能なビジネス、DX化によるペーパーレスなどの時流とともに減少傾向にあります。そんな時流のあおりを受け、印刷業界(印刷会社)は、文字通り“青色吐息”です。地方では15%から25%もの年間売上が減少傾向にあり、従来の商慣行にしがみつく会社は、続々と倒産の憂き目に見舞われているといいます。

このような背景の下、「印刷物」の需要は確実に少なくなっています。企業サイトや製品サイトへ製品カタログや仕様書などのPDFをぶら下げておけば、刷り部数を大幅に削減できます。また仕上がりの印刷品質にこだわらなければ、少部数による「オンデマンド印刷」や、ローコストな「ネット印刷」で事足ります。

印刷会社の営業マンは、客先へ日参月歩することで、お客様との密な関係性を持つことで発注や、随意契約が得られていましたが(いわゆる“御用聞き営業”)、ネット普及と印刷システム、全国配送の利便性が高まり、印刷会社の需要が少なくなると「持ちつ持たれつのお付き合い」や「地域の仲間仕事」のメリットが薄まり、全国規模での熾烈な「コスト勝負」となっています。

その一方、現場の担当者はコストより内容(=コンテンツの質)にシビアです。なぜなら、いくら制作コストが抑えられても、新規・深堀案件の獲得や優秀な人材獲得などの結果が得られなければ、すべて“ムダな投資”となり会社からの評価も得られません。販促担当者の目的は、「ツールを安く完成させること」ではなく「完成したツールで会社に利益をもたらすこと」なのです。つまり、ゴールは成果(効果)を出すことです。




会社案内や製品カタログ制作など
製造業に必要な4つの紙ツール

1. 会社案内パンフレット
「会社案内」は、企業と企業、企業と個人が、ファーストコンタクト後にコミュニケーションを図るための大切なツールです。「何の事業を営み、強みは何か?」「会社や事業の規模は?」「どんな理念やミッションを持つのか?」といった情報やコアコンピタンスを、読みやすく、わかりやすく「第三者」へ伝えます。

第三者とはお客様だけでなく、協業者や社員とその家族、株主、銀行などのステークホルダー、さらに新卒や中途採用者(とその家族)も含まれます。さらに会社案内は、法人格としての人となりや、ブランド価値を高める演出のためにも非常に有効です。BtoBなら製品カタログやパンフレットと同様、「セールスツールとして十分に機能します。

2. 製品カタログ(パンフレット、ブローシャ)製品チラシ(リーフレット)
製造業・メーカー様にとって製品カタログやパンフレットは、新規・深堀を問わず、案件獲得に直結する重要なセールスツールです。自社の新製品や新サービスが、読み手(お客様)にとって、いかに有益で購入に価するものかを論理的に訴求しなければなりません。

両面印刷の2ページものペラチラシや、二折4ページ/三折6ページものが、製造業・メーカー様にはおなじみのツールの仕様ですが、20ページから数100ページ以上におよぶ総合カタログまで様々です。両面ペラチラシは、個別カタログとしても使いやすく、表面にセールスポイント、裏面にスペックシートという構成になります。

総合カタログは、ペーパーレスの時流に合わない感がありますが、資材や機材の購買・調達には紙のツールは、以前として需要があります。検索や一覧性においてPDFやHTMLの電子ブックより紙のほうが使いやすく、本棚に陳列されたときの分厚さ(束幅)にこだわる製造業・メーカー様も多いです。

とはいえ、ページ数が多いので制作単価も非常に高価になり、毎年改訂版を作ることを考えることコスト面や環境面で躊躇しがちです。しばらくは、デジタルと紙の共存は続きますが、電子ブックや検索AIが進化し、ネットリテラシーの高い若い世代が主軸となる近い将来には、紙の総合カタログは完全になくなるはずです。

製品カタログや製品パンフレットは、ツールを使う「シーン」でページ数や構成が大きく変わります。会社案内パンフレットや製品カタログは、展示会のブース内での配布や、企業サイトからの資料請求のほか、日常の訪問営業や打ち合わせでも利用します。このため、紙厚やページ数がかさむと営業マンがかばんに携帯する際に嫌がられ、せっかくのツールを使わなくなります。

3. DM(ダイレクトメール)
BtoBビジネスでDMといえば、10年以上前なら積極的にやっている企業もありましたが、今はほとんどなりました。以前なら展示会の招待券と、出展内容を紹介するペラチラシなど同封し、既存顧客へ郵送していましたが、展示会主催者も出展者に招待券の配布を控えるようになり、DM配布も大幅に減少。
一方でメルマガや企業サイトなどでネット告知する傾向が高まっています。

DMはばら撒きこそ命なので、既存顧客リストを元に“じゅうたん爆撃”的に配布することが基本です。ほとんどが1度きりの使い切りなので、使い回しができないことも考慮しなければなりません。

4. 製品仕様書
製品仕様書は、スペックシート(製品仕様)に特化したデータシートです。特長や紹介文、製品写真、図面があり、工業製品の仕様がメインとなります。新規やリプレース導入の検討時や、導入後の設置場所/環境の検討などにも必要不可欠です。

製品アイテム数が多い製造業・メーカー様なら、製品ジャンルごとに各仕様のデータが、一目瞭然に見えやすく、理解しやすくすることが重要です。表組のデザインや、データを縦串/横串で見たときに読みやすく、すぐに理解できる工夫が必要です。紙に印刷しなくても、企業サイトの製品紹介ページに詳細情報として、PDF化してダウンロード配布することは、もはやユーザーサポートの常識です。

その他、操作マニュアルや機械・装置の整備書などがありますが、ペーパーレスのあおりもあり、タブレットやノートPCで現場にて確認できるように電子化(HTMLやPDF化)するものが多くなりました。

5. パワポ資料
パワポ資料は、社内外での営業アプローチにおいて高い需要があります。営業マンが訪問した際にノートPCやタブレットで自社製品や技術のプレゼンをしたり、プリンター出力して冊子にすることも可能です。

とりたて体裁を気にしてデザイン化する必要はありませんが、社外セミナーやきちんとした式典でプレゼンをする場合ならデザイン会社へ依頼するのも手です。この際、パワポの中身までは委託できないので、文章やデザイン、スライドアニメーションもすべて委託するとパワポデータといえ、けっこうな制作費になります。

いち営業マンの個人ツールであれば、とりたて予算がかけられないので、社内や部内で「デザインテンプレート」のみ外部委託で制作し、中身は個人で制作する場合がほとんどです。
このように「どこでだれに見せる?」を前提とし、必要十分の内容に仕上げることがパワポ資料制作のポイントです。

6. その他(環境報告書、IR統合報告書、周年記念誌 etc.)
サスティナブル経営や「カーボンニュートラル」などの「持続可能な環境ビジネス」化のため、製造業・メーカー様でもCSRの一貫として、大手企業を中心に環境報告書の必要性が高まってきています。北米や欧州を中心としてすでにサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルが求められ、その取り組みをモノづくり企業として情報開示・発信する必要があります。

IR統合報告書は、企業の「知的資産」と「財務データ」の両面において、自社の特長や強み、経営ビジョンやミッション、ロードマップ(近い将来から未来までの事業戦略)についてまとめたものです。

最低40〜80ページ強のボリュームがあり、以前なら“読む人(株主、投資家、銀行)が読めばいい”といった素っ気ない内容でしたが、最近は読みやすさ、わかりやすさを重視し、写真やイラスト、概念図、表組をふんだんに盛り込み、見た目が美しい誌面のものが多くなりました。ESG金融の指標や判断材料としても見られるため、コンテンツ重視の傾向が強まっています。

株主や投資家、銀行だけではなく、社員やその関係者、ステークホルダーにも、いまの会社や事業をしっかり理解していただくという大切な役割もあります(続く)


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