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コムコラム3:問答無用!? オシャカワっぷりのAWA展に圧倒


東京・天王洲アイル駅にある寺田倉庫。倉庫といってもいろいろなアート催事の展示会場となって、街並みもオフィスビルやタワーマンション、カフェレストランが並びすっかりオシャレタウン化。右写真は、気持ちいい風がそよぐ昼下がりの海岸通り

監督本人もビックリするような
W・アンダーソン的な絵作りの数々

東京都内・港区三田にある製造業・メーカー様に特化した、販促企画に強い広告代理店コム・ストーリーのプランナーGです。梅雨入りでジメジメした時期ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。季節外れのインフルエンザや台風やらが発生しているようなので、くれぐれもお気をつけてください。

先日、写真展『ウェス・アンダーソンすぎる風景展〜AWA展』に行ってきました。コムのオフィスからわりと近い天王洲アイル・寺田倉庫で開催され、閉会間際の最終週だったので、ガラガラと思いきや、入場まで約20分待ちという大盛況ぶり。しかも来場者の多くが10代、20代の女子や若いカップルという異色の写真展でした。


会場内のあらゆるところがフォトスポット。「日常の旅と冒険」をコンセプトとし、来場者をアンダーソン・ムービーの世界に誘う。とはいっても、来場者の瞳はすでにハートマーク状態。一番右の写真が、ワリーとアマンダ・コーヴァル夫妻だそうだ

ウェス・アンダーソンは、オシャカワ(おしゃれ・カワイイ)テイスト溢れる映画『グランド・ブタペスト・ホテル』『犬ヶ島』などで世界的に有名な監督です。タイトルの「すぎる」とは最近流行りの「○△的な〜」という写真展であり、同監督は本写真展に直接関係しているわけではなく、フォロワー数175万人超を誇るワリーとアマンダ・コーヴァル夫妻の「インスタグラム」コミュニティーで集まった写真を展示したものです。

作品の多くは、インスタ的な正方形トリミングがメインで、「左右対称&パステルカラー」のウエス・アンダーソンによる映像世界を見事に静止画で表現。ある意味、「アンダーソン監督より本人っぽい?」世界観を見事に醸し出した作品ばかりです。会場内は「いやん、カワイイーよねー、ちょーカワイイー」のるつぼで、さらに「写真&動画撮影OK!」なので、インスタグラマーが映え狙いの写真を撮りまくるテーマパークのようでした。

昔はブローニー、今はインスタ
スクエア写真のおもしろさとむずかしさ

高画素スマホやデジカメの普及により「写真が日常を超えて人生の一部になっている」をいまさらながら実感しました。そこには、小難しい現代写真論の「写真の読み解き方」的な方程式や、スナップ写真の巨匠A・ブレッソン、R・フランク、木村伊兵衛らの洒脱さはいっさいなく、「グランド・ブタぺはきっと見ていない」と思われる、オシャカワな若い娘さんらの「カワイイければいいじゃん !!!」という問答無用のパワーに圧倒されました。


別に女子ウケは、気にしていないと思うが、壁紙の罫紙からしておしゃれでカワイイ。照明もほどよく明るく、ダウンライトと電飾パネルを効果的に使い分けていた。どれもアナログ盤のLPジャケットとして使えそうなレベルの作品ばかり

印象的な正方形の「スクエア写真(1:1)」は、銀塩カメラを知る人ならブローニーフィルムやポラロイドをきっと思い出すはず。じつは絵づくり(構図)が難しく、カメラレンズの画角とアングルを選ぶシビアなフォーマットで、プロでも敬遠しがちな難しさがあります。ご存知のとおり、現在はスマホやSNSの普及でスクエア写真がグッと身近になりました。

通常コマーシャル・フォトは「3:2」または「4:3」の比率がほとんど。会社案内や製品カタログ、企業サイト、製品ランディングページなどで掲載する写真も、この比率で撮影しコンテンツのレイアウトに合わせて若干のトリミングをかけます。
スクエア写真は、撮影時に「1:1」の比率を前提に絵づくりをしなくは作品として成立しにくい(撮影後のトリミングが難しい)。ちなみに販促物の誌面や判型サイズは「4:3」の比率が多いため、スクエア写真をレイアウトしようとすると、天地左右の余白や「座りの悪さ(違和感)」が目立ち、なかなか使いづらいのです。

AWA展のどの作品も高解像度でジャスピン(ピントが深い)なハイクオリティーさが際立ち、額装(パネル)とパステル色の壁面、什器、小物、ゾーニングを含めた展示にも工夫が施され、写真展としての企画力の高さがヒシヒシと感じらました。

SNSコミュニティーが創り出す
見たことがない風景写真の数々


シンメトリーの構図は、アンダーソン映画の凝りに凝ったセットのように見える。生活感がなく、見ようによってはシニカルで不気味な感じもする。写真中央は、クリスマス時のウクライナ遊園地だそうだ。今も子供達が声を上げて遊んでいるのだろうか……

作品のほとんどは、風景写真がメインで人物はほとんど写っておらず、風景自体も浮世離れしていて生活感が感じられません。「ジィーっ」と隅々まで写真を見ていると、人影らしきものも写り込んでいるのですが、無機質で顔や目線が見えず、人形やモノみたいで生命感が感じられない……。なんだか、一度入ったら出れない、楳図かずお的な恐怖空間藤子不二雄F的なパラレルワードの不気味さ、毒の強さが窺われるのも、この写真展の面白さの1つです。ある意味、ウェス・アンダーソンの本質ですね。

同写真展は、大好評につき東京・渋谷ヒカリエホールにて『ウェス・アンダーソンすぎる風景展 in 渋谷』として11月26日(土)から再開催されます。
アンダーソン好きも、そうじゃない人も、「カワイイーがわかるアナタ」なら“ちょーオススメです。

追加情報:「ウェス・アンダーソン」的じゃなくて、本家監督の最新作『アステロイド・シティ』も公開中!!

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