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撮影の基本2:撮影のダンドリと伝わる写真



前回(その1)は、写真撮影(物撮=ブツドリ)の基本構図をご説明しました。実際に写真撮影を依頼する際、担当者様がシャッターを切るわけではないので(当然ですが……)、企業サイト制作や会社案内制作に「必要な写真を、必要な点数で」カメラマンに確実に撮ってもらうことです。

そのためにも、事前の「カットの洗い出し」が重要になります。撮影時間は、半日(午前中もしくは午後一から午後6時前後)、終日(1日)の場合がほとんど。工場やオフィスの就業時間内が前提になります。そのため、撮影当日までに各カットの撮影内容がわかる「構成案(ラフ)」を作っておくことです。これを編集デザイン用語で「先割り」といいます。

ホームページや会社案内、製品カタログなどのツールには、紙とデジタルのメディアの違いによって「デザインルール」があります。このルールを無視すると、写真撮影だけを優先すると、DTPやWebデザイン時に見た目の「不安定感」が誌面やWebページに発生して、写真の“座り”が悪い落ち着かないレイアウトとなります。

いつか機会を改めてご説明しますが、カタログやパンフレット、会社案内などのページものの紙ツールなら「のど側(綴じの部分)」、ホームページならWebページ中央に「人(顔や視線)や物が向いていること」がマストとなります(ページ内の位置で例外もあり)。これが守られていないと、誌面やWebページが絵的に気持ち悪くなり、落ち着かないレイアウトになります。



またランディングページ(LP)のように縦横にレイアウトやページが連続する場合は、写真の人や物の向きを意識的にコントロールしないと、デザインバランス(リズム)をとるのが難しくなり、チグハグとして感じになります。

このため最終的なレイアウトを踏まえ、各カットの撮影ディレクションが必要です。通常この役割は、広告代理店や制作会社の「ディレクター」「アートディレクター」が担います。例えば、会社案内のような中綴じの冊子なら、「この写真を左か右のどちらにレイアウトするか?」を前提に、ディレクターがカメラマンに撮影指示を行います。

例えば、デジカメによる物撮りなら、1カットごとに被写体の輪郭など要所にピントが深く入っているかを確認しながら、丁寧な撮影を行うため意外と時間がかかります。よくお客様から「将来的にホームページにも使いたいから、たくさん撮って!」というご依頼もありますが、全カット左右振りを撮るとたちまち撮影時間を圧迫してしまい、最悪の場合、予定数を撮りきれないという状況に陥ります。

後日、再撮影日が設定できれば問題ありませんが、「機械が明日出荷になる!」「雨天で社屋が撮れない !?」という不測の事態も考えられます。撮影日が追加になると見積金額から“足”が出てしまい、予算オーバーになりかねません。これはお客様にも制作会社にもデメリットとなります。

コム・ストーリーでは、構成案のほか「撮影リスト」を作成します。撮影するカットを洗い出し、各カット数を明確することで当日の現場撮影が円滑に行えます。また「1 カットいくら」ではなく、半日または1日単位での撮影料金なので、うまくディレクションすることでより多くのカット数を稼げます。必要カットを撮り終えた後に時間に余裕ができれば、予備カットなどの「押さえ」の撮影枚数が稼げます。

◉ 撮影リスト

◉ 構成案(A4/6p構成の三折製品パンフレット、カタログ)


◉ デザイン後(A4/6p構成の三折製品パンフレット、カタログ)※旧カタログ分、現在改訂作業中


この撮影リストと構成案が完璧なら、“鬼に金棒” ダンドリ万全です。あとは当日カメラマンとディレクターは「写真の絵作り」に集中するだけでOK。ご担当者様には、デジカメの内蔵モニタかPCで主要カットの構図を確認していただきます。

ディレクターの役割は、カメラマンに単にカッコイイだけの写真を撮らせることでなく、「コンテンツの目的に合った写真にすること」であり、最終目的であるツールに掲載した際に各カットがきちんと機能することです。それは文章の説明を分かりやすく補足したり、誌面やサイト内のページを彩り、デザインにメリハリやリズムを与えることです。

ツール制作にあたり、どう撮影したらいいか迷ったら遠慮なくご質問ください。コム・ストーリーは、デザインの罫線1本でも、どういう意図でこの太さにしたのかを言葉できちんとご説明できます。
写真は、製品の性能や機能を体現する大切な要素です。製品サイトのページや、カタログ誌面に「伝わる写真」を盛り込み、お客様のハート(興味や関心、購買意欲)に火をつけましょう!(了)

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